心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★
自立を目指して、移乗シートで出来る事
2023-11-01
自立を目指して、移乗シートで出来る事
皆様はトランスファーシートという移乗シート(以下、トランスファーシート)をご存じでしょうか?
介護現場でご利用者のお身体の下に敷きこんで、ベッド上での位置修正や寝返りの補助等の介助が楽にできる、とても便利なアイテム(福祉用具)です。
私たち横浜営業所で、平成19年から福祉用具をご利用頂いているFさんは、介護保険のレンタルでこのトランスファーシートをご利用されておられます。
Fさんとは紙おむつのご相談から始まりました。Fさんは横浜で昭和12年創業の老舗の銭湯を2代目として経営されておられました。
場所は、横浜山手・本牧界隈にあり、山を隔てて隣には有名な横浜中華街があります。
ちなみに横浜本牧は、かつて米軍基地のあった街で、ジャズダンス発祥の地。アメリカンなレストランやカフェ雑貨屋が多くあります。
戦後の横浜は、米軍基地が近くにあることもあり、ディスコがあり、アメリカ人がプレーするベースボールを見物したり、東京から多くの若者が横浜本牧の地へ集まってきたそうです。
外国人の方も日本の文化を肌で感じたいと、日本の銭湯を利用したとの事で、Fさんもその影響で英語がとても堪能です。
Fさんは大学に進学を希望されていたのですが、その時期に体調を崩された初代の父から、家業である銭湯を継いでほしいと言われ、家業を継ぐ決断をされました。
今は3代目の息子様が経営を引き継がれています。
Fさんが60才の時、大掃除中、脚立から転落し、胸椎を強打されました。
現在は外傷性脊髄損傷による両下肢の対麻痺の為、ご家族や介護サービスの支援が必要です。麻痺があるため、腰から臀部にかけての床ずれのリスクが高く、エアーマットの利用と訪問看護の病状管理は欠かせません。介護ベッドは起き上がりの為に非常に助かっているとの事。ご家族もお仕事が忙しく、独居ということもあり、見守りは欠かすことはできませんが、できることは積極的に自分でして、在宅生活を楽しみたいと何事も意欲的な方です。
これまで入退院を繰り返されていましたが、車いす生活を経て現在は在宅生活が安定されておられます。
ご家族やヘルパーさんがご本人を車いすから介護ベッドへ移乗介助する時、ベッド上で正しい寝位置へ修正する為に、トランスファーシートを活用しておられます。
まず、トランスファーシートを介護ベッドの上に置いた状態で、車いすからベッドへ乗り移り、トランスファーシートの上にご本人を移すと、あとはトランスファーシートが四方に滑るので、寝る位置を楽に調整できます。
シート自体滑る生地なので、力もいらず、ご本人の皮膚への負担を確実に減らすことができます。
最終的にご本人が両手で左右のベッド柵を握って、少し調整しながら完了。自立支援にも役に立っています。
このシートを使う前は、防水シーツ等による摩擦で皮膚にダメージを受け、介護者も力で動かそうとされるため、皮膚に負担がかかり、大変でした。
今では、ヘルパーさんも皆さん積極的にトランスファーシートを使ってくれて助かっていますと、うれしいお言葉を頂きました。
今後は少し苦手意識があるヘルパーさんにも自信をもって使ってほしいと考え、現在事業者様向けの研修会を企画中です。
現在介護施設では、施設職員の腰痛対策でトランスファーシートのような移乗シートを導入されるところが増えています。在宅の現場でも同様に、ご家族や介護サービスに携わる方が、このような商品を知ってもらう事で介護負担の軽減ができ、自立支援につながるよう、弊社からもっと情報を発信していきたいと思います。
株式会社ウィズ 横浜営業所 福祉用具専門相談員 福井智裕