心温まるストーリー★介護の現場から~介護すること、されること~★
コギー(足漕ぎ車いす)をテレビでみて
2023-02-07
コギー(足漕ぎ車いす)をテレビでみて
81歳のAさんは、元々脳原生運動機能障害があり、長年の閉じこもりや同じ姿勢でずっと座っている事で、筋力低下や両足の拘縮が進んできておられ、
また、左手は麻痺があり、右手は少しであれば動かすことができる状態でした。
床から立ち上がることが困難なため、自宅内は這って何とか移動されていますが、立ち上がる際には介助が必要であり、日常生活の動作が徐々に困難になっておられました。
また奥様にも障がいがあり、屋内は車いす、外出時は電動いすで生活をされていますが、
家事全般は奥様が担っておられ、Aさんの立ち上がりの補助などもされており、介護の負担が大きくなっている状況でした。
そんな時に、歩行が難しい方でもどちらかの足が少しでも動かすことができればペダルを漕いで移動できる可能性があるという、足こぎ車椅子『コギー』(※)をテレビでご覧になられました。
コギーの詳細はこちら⇨ https://cogycogy.com/
「これなら自分で車椅子移動できるのでは?」
「介護保険レンタルできるならリハビリの際に試したい!」
と担当ケアマネジャー様にご相談されたことが、福祉用具を通しての支援の始まりでした。
1回目のデモはリハビリの時間に合わせて行いましたが、Aさんの足が内股に硬直している事もあり、一人では乗り降り出来ず、ペダルを漕いでも1mも進まないうちに左足がペダルから抜けてしまうなど、上手くいきませんでした。以前にも別の利用者様で3ケース、コギーのデモを行ったことがありましたが、車椅子への乗り降り、足漕ぎペダルのセッティング等、ご利用者一人での準備が難しく、結局導入には至らなかった事もあり、『コギー』は良い商品なのですが、なかなか実用が難しい商品なのかな、、、と思ってしまっておりました。
しかし、Aさんとお話しする中で、「妻には障害がある中、家事や私の介護で大変な思いをさせているので、何とか負担を軽減させたい」「簡単にあきらめたくはない」という強い想いをお聞きしました。
Aさんの想いに応えるため、乗り降りのセッティングはリハビリの先生にご協力を頂き、練習を重ねることになりました。足関節の拘縮があり、足漕ぎペダルの奥まで踵をしっかり入れ込む事が出来ず、抜けてしまうことは、靴下を履いて、足とペダルの大きさに合うリハビリシューズをご用意することでクリアできました。
最初は1、2分でバテておられましたが、練習を重ねることで、最近は自宅内の廊下を5~6往復は出来るようになっておられます。次のステップとしては、マンションの廊下でリハビリが出来るようになること。最終目標はコギーで外を散歩出来るようになりたいと考えておられます。
導入してまだ間もない為、奥様の介護負担に関しては、まだ大きな変化はありませんが、
長期的な目標として、ご自身でできることが増えて、奥様の負担軽減に繋がるようにと、前向きな気持ちで日々練習に励まれています。
福祉用具をうまく活用していく為には、ご本人の熱意やチャレンジと各専門スタッフの工夫が必要で、それにより結果が大きく変わってくるということを改めて痛感しました。
生活の状況やお身体の状態に合わせて今後もケアマネジャー様やリハビリの先生と連携し、ご本人とご家族の望む生活が送れるように、一緒に考えさせていただきたいと思います。
株式会社ウィズ 大阪西営業所 福祉用具専門相談員 福水 鉄平
